観劇ツアー4・5

広報佐藤より、先日の早稲田大学の観劇報告です。

早稲田大学は私立大学です。学芸大学の人を連れてくると皆さん驚かれるのがその綺麗さ。そして設備の充実具合です。さすが私立。地上5階、地下2階まである学生会館の地下2階が会場です。
エレベーターで行けば何の問題もないのですが、階段で下がろうとすると大変です。普通に迷いました。さすが私立。
また早稲田というと、著名な演劇人を多数輩出していることでも有名です。演劇団体が多いのも特徴的ですね。今回の観劇は「劇団森」さん(「森」と書いて「しん」と読みます)、「劇団てあとろ50'」(「てあとろふぃふてぃ」と読みます)の二団体。一日で二団体観られるというのが凄いですね。さすが私立。
ちなみに、今月中に公演を打つ団体がまだあります。私の知る限り、三団体がホシヤミの公演(9/18〜20)とバッティングしていますが……


で、内容なんですが。
先日観に行った早稲田大学の二団体は舞台の作り方が似ている印象でした。役者のはけ口が上下に二つずつ(てあとろさんは中央にも有)。パネルの壁に、いかにも「出はけするところです」と言わんばかりの穴が開いている。出はけって、舞台のお約束と言えばお約束なのですが、あれだけ「穴」だと妙な感じもしました。その先にいかなる空間が広がっているのかがイメージできず、何か「穴」として意識してしまったところです。まあ、ホシヤミ舞美のはけ口がどうなるのかはわかりませんけどね。


しかしながら内容は全く異なった雰囲気でして。


まずは劇団森『It's A Beautiful Day 〜誰にでもできる簡単な××〜』から。
森さんの内容は非常に暗めで、舞台も黒基調でした。最前列で観ていたこともあって、舞台と客席の距離が近いです。迫力溢れる発声は時に過剰に感じましたが、これくらいの圧迫感が良いのかもしれないと思いました。決して妥協点を見つけたいわけではなく、暗いテーマを扱う上での緊張感というか、覚悟みたいなものを感じたかったのだと思うんです私は。

やっている側と観ている側が同じ時間と空間を共有するのが演劇の面白さなのかもしれません(わけあって少し濁します)が、両者は決して対等ではないと思うんです。当たり前ですが観ている側はタタキもやらないし稽古もしないです。2ヶ月くらい脚本と付き合っている人にはわかって当然と思えることが、当日初めて観る人にはさっぱりわからないなんてよくある話だと思います。単純に情報としてわからない、ということも勿論のこと、やっている側がどういう心持ちで脚本と付き合ってきたかなんてわからないと思うのです。むしろ観客佐藤としては、そんなこと知ったことではないのです。製作上の苦労話を聞きに観劇に行くわけではないのです。
でも、そういう考えでいる限り「やっている側と観ている側が同じ時間と空間を共有するのが演劇の面白さ」なんて口が裂けても言えないです。対等でない関係で同じ時間と空間を共有しろなんて窮屈すぎやしませんか?

では、やっている側がそのテーマに対する切実さを演技に乗せてさりげなく発信しているとしたら。
対等な関係とまでは言わないにしても、「伝わる。わからなくはない」までは進展できるのではと希望を持てるのです。
森さんの公演(何か個人名みたいに見えてきましたが)はそういう意味で、私には本当に革新的だった。最後に救われはするのだけれど、本当に暗いテーマで(というよりも、希望溢るる「新人」たちがそういうテーマの演劇をやっていることが暗く感じられるのかもしれない)、しかし何だか満足感があるのです。そういうテーマに挑むにあたっての覚悟のようなものが、わからなくはなかった気がします。


やっている側には「別にそんな面倒なこと考えてねーよ」とか思われるかもしれませんね。

でもですよ。脚本とか製作上の苦労を何にも「知らない」人が「知っている」人たちと同じ時間空間を過ごすことの意義って、こういうすれ違いや誤解、やっている側が思いもよらない感じ方を出せることにあると思うのです(やっている側にそれが有益かどうかはまた別の問題ですけどね)。私は今回の公演に来場してくださる観客の皆さんと、そんな話をしたいのです。


何か、昨年度の演鑑演劇部卒業公演『終電スクロール』で作演出の佐々木琢さんが稽古場日記で「ミスリード」について似た感じのことを書いていた気がします。これ以上私の拙い文章を書き連ねてもあれなので、気になる方は稽古場日記へどうぞ。

森さんの感想というか佐藤の雑感が長くなりすぎました。てあとろさんについては別の記事で書きます(他の人が)。すみません。失礼します。


(追伸)
観客の皆さんを「タタキも稽古もしない・製作上のことがわからない」なんて書いてますが、稽古場日記やホシヤミ通信は稽古やタタキの情報を発信していくものです。観客の皆さんに我々の公演の目指すものや公演に立ち向う気概が少しでも伝わればと本気で思っていて、更新しています。見てくださっている方、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。公演初日まであと11日!